WEB版あいちゃん便り
妊娠中の患者様から「妊娠したら、視力って落ちますか?」とのご質問をいただきました。
「妊娠・出産が目になんの関係があるの?」と思われるかもしれませんが、実は、この時期に視力の低下を感じる方は少なくありません。
妊娠中から産後の方の視力に関する主な訴えは、
・視界がぼやける
・スマートフォンや雑誌の小さい文字が見えにくい
・標識や看板の文字がボヤけて見えにくい
・気がつくとよく目を細めて物を見ている
などです。
原因は、ホルモンバランスの変化や血流量の増加、体内の水分量の変化、出産時のいきみによる目への負担、出産や育児による疲労などが考えられます。
この視力低下は一時的なもので、一般的には、産後しばらくすると落ち着いてきて視力も戻ることが多いようです。多くのママに起こることなので、それほど心配される必要はありません。
でも、一時的な身体の変化によるものなので、よほど見えにくくて不便でない限りは、妊娠後期から出産後すぐにコンタクトレンズやメガネの度数変更は控えた方が良いでしょう。
当院では、出産を間近に控えた患者様が、いつも使っているコンタクトレンズを少しまとめて購入希望されるケースがあります。
3か月に1回の検診が必要ですが、出産と重なったり、里帰りされたりというご事情を考慮して、いつもきちんと定期的に検診に来院され、眼の状態や視力が安定しておられる方には購入OKとさせてもらっています。
しかし、「出産が近づいてきたら・・・少なくとも臨月に入ったら、コンタクトの使用は控えて眼鏡で過ごしてくださいね」とお伝えしています。
いつ陣痛がくるかわかりません。出産時に予想外のトラブルが起こる可能性もあります。
多くの産婦人科でも、出産時にはコンタクトレンズをはずしてもらうようお話しされるはずです。
陣痛の時に、コンタクトレンズを丁寧に外す余裕はないかもしれないことを想定して、出産が近づいたら、普段から眼鏡で過ごしていただきたいです。
お母さんにとっても、赤ちゃんにとっても、ご家族にとっても人生の一大事です。
なによりも、安心安全に、無事に出産してもらうことが最優先です。
さて、余談ですが、出産後のお話。
産後、8週間くらいまでの間は「産褥期」と呼ばれ、妊娠・出産で疲れた体・大きく変化した体を回復させるためにとても大切な期間です。
でも、体を休めている間に、スマホに夢中になっていませんか?
出産直後は、わからないことだらけで不安がいっぱい。
最近のママは、スマホを使って育児情報を調べたり、出産報告メッセージを送ったり、SNSを更新したり、内祝いを選んだり、父母に孫の写真を送ってあげたり…と、大忙し。気づかないうちに目を酷使してしまっています。
体を休めてゆっくりしている分、手持ちぶさたでついスマホを使いたくなりますが、眼も身体の一部です。なるべく意識して目も休めてあげましょう。