WEB版あいちゃん便り
今年は寅年・・・トラとヒトの眼の違い(2)
今年は「寅年」です。
前回、ネコ科の動物の眼にはあるけどヒトの眼には無い「瞬膜(第3眼瞼)」について記しました。
今回は、同じようにネコ科の動物の眼にはあるけど、ヒトの眼には無い、もうひとつの組織である「輝板(タペタム)」についてお話ししたいと思います。
【輝板(タペタム)】
夜に、暗闇の中でトラの眼が白く光っている映像を、テレビなどで見たことのある人も多いのではないでしょうか?夜にネコの眼が光っている様子を実際に眼にされた方もあるかもしれません。
夜行性であるトラなどのネコ科の動物には、網膜の下に輝板(タペタム)と呼ばれる組織があります。このタペタムという組織が、眼に入ってきた光を反射し闇の中のわずかな光を増幅させる役割を持っています。トラやネコの眼が、暗闇で光って見えるのは、反射板としての役割を持つタペタムからの反射が見えているためです。
ヒトなどのような昼行性の動物には、カメラの暗箱の働きをして光の散乱を防ぐために、網膜に黒いメラニン色素を含む網膜色素上皮層があります。しかし、トラやネコのようなタペタムを持つ動物は網膜の色素上皮細胞にメラニン色素がなく、光を通過させるような構造になっています。
網膜を通過した光が輝板で反射し、わずかな光を増幅させることができるため、夜間の暗い状態でもモノが認識できるのです。
余談ですが・・・
トラなどのネコ科の動物以外に、イヌの眼にもタペタムがあります。
実は、ネコとイヌの祖先はミアキスという同じ動物だったため、イヌは、ネコ目(食肉目)イヌ科という分類に属しています。タペタムはイヌ科を含むネコ目(食肉目)に特徴的な目の構造なのです。
ミアキスは森に住み、一匹で狩りをする生き物でした。進化の過程で、そのまま森に残ったのがトラのようなネコ科の祖先です。一方、森から草原に出て群れを成して獲物を追いかけるようになったのが、オオカミのようなイヌ科の祖先です。
次回は、トラなどのネコ科動物の視力について